営業メール、どうやって送る?現役ライターが考える、営業先の選び方と文面のコツ【テンプレ付き】

「あのメディアで書いてみたい!」

ライターをしていると、そう思う瞬間があるハズです。とはいえ、成り行きで憧れのメディアで書けることはまれ。そこで、自分の書きたい思いをアピールし、採用につなげていくのが「営業」です。

しかし、皆さんはライターの営業のコツを知っていますか? メディア宛にメールを送って売り込むまではできている方も多いと思いますが、「何回メールを送っても全然採用されない……」という思いをしている方も少なくないでしょう。実際、私もライターはじめたての頃は、50件の営業メールを送って一社も採用されないほどでした。

ところが、そんな私もライター歴を重ね、さまざまな業界の知識や営業ノウハウを手に入れた結果、営業メールを送ればかなりの確率で採用されるようになりました

そこで、私が身につけてきた「採用される営業メールの送り方」を大公開! 皆さんの手間を減らし、かつメディアウケのいい方法をご紹介します。

【前提】営業メールを送る下準備のポイント3選!

「営業メールを送ろう!」となった時、ただやみくもに「書けそうなメディア、書いてみたいメディア」にコンタクトをとっていませんか? 私はとっていました。

しかし、それでは手間もかかりますし、数が膨大になるため文面がコピペのようになってしまいます。不採用の連続で精神的ダメージも大きく、全くオススメできません。

そのため、まず営業メールの具体的な書き方を説明する前に、「営業先の選び方」のポイントを3点ほど解説します。なお、ポイントには含めていませんが、応募先メディアの既存記事やメディアカラーを最低限把握するのはマストですよ。

ポイント1.全く見込みのないメディアには応募しない

残酷なことを言ってしまうと、そもそも外部からの営業をほとんど受け付けていないメディアもあります。

たとえば、記事を書いているのがメディアを運営している会社の社員だけという、いわゆる「内製メディア」の場合。彼らはそもそも外部のライターを受け付けていないので、応募しても採用される確率はかなり低いでしょう。

また、大手出版社が運営している週刊誌系のWebメディアも厳しいです。こうしたメディアはフリーライターを積極的に採用していますが、対面でのコミュニケーションを極めて重視する傾向があり、メディア関係者に知り合いがいない場合、いきなり営業をかけても採用される確率はほぼゼロ(一方、飲み屋などで知り合いになっていれば採用される確率がかなり高いのも事実です)。

あとは、メディアに採用されているライターの質が良すぎる場合も厳しいでしょうか。大物ライターしか採用していないところに、初心者のライターが突撃するのは無謀に思えます。

上記のような場合、「そもそも営業先としては不適格なメディア」になるので、サッサと諦めてしまうか、社員としてメディアにかかわるなど、別の入り口を探すべきでしょう。とくに、フリーライターの場合は全く見込みのないメディアに応募する時間の分だけ実質時給が下がってしまうので、応募先はよく選ぶべきです。

ポイント2.記事ネタや志望動機が自然に出てくるメディアに応募する

応募先を選ぶときは、自分が書ける記事ネタが自然と思いつくメディアに応募するといいでしょう。

いくら憧れているメディアでも、いざ採用された際に書きたい記事が分かっていないと、応募する際の連絡文面に苦労すると思います。「こんな記事が書けるorこんな記事を書きたい」というメッセージは必須です。就活の志望動機と同じですね。

ただ、就活のように建前をくどくど語る必要はないと思います。そもそも、記事があんまり好きじゃないとか、書きたくないようなメディアには営業しないほうがいいんじゃないでしょうか。生活のためとも言えますが、相性のわるいメディアで書くのは双方のためになりませんから。

自然にしていても、「こういう理由でこんな記事を書きたい!」と思いつくようなメディアに応募するのが理想です。

ポイント3.ライター募集の告知がなくても積極的に応募する

メディアによっては、サイト上に「ライター募集のお知らせ」を出しているところもあります(ウチのメディアもその一つ)。この場合、ライターの立場ならかなり応募しやすいと思います。

しかし、ライター募集のお知らせが出ていないメディアにも積極的に応募してみましょう。たいていのメディアには「お問い合わせフォーム」があると思います。そこから突撃しても全く問題ありません。実際、ライター募集のお知らせが出ていないサイトで何度も採用された経験があるので、これは有効です。

では、なぜライター募集をしていないサイトでもライターを採用する場合があるのか。

これは非常に単純で、ほぼすべてのメディアはつねにライターを募集しているから。質の高いライターを完ぺきに揃えているメディアはほとんどないので、応募は基本的に大歓迎(だからといってメディアの求めているライターでなければ採用されないので、そこを勘違いしてはいけませんが)。

メディアは日々変化していくので、「今までは十分なライターがいたけど、メディアの拡大にあたって新規ライターを探し始めた」「急にライターが辞めまくって慌ててライターを探している」なんてこともあります。全く見込みがない場合は別ですが、少しでも見込みがある場合はガンガン営業してみましょう。

お断りの連絡が入ればいいほうで、サイレントお祈りなどザラですが、採用されたら儲けものの精神が大切です。

1.営業メール文面作成のポイント3選!

上記を参考に営業先を絞り込めたところで、いよいよ実際のメール文面を作成するにあたってのポイントを解説します。(「社会人として当然のメールマナー」は習得できている前提で話を進めていきますので、そちらご了承ください)。

ポイント1.とにかく端的に書く

メディアの採用担当(多くの場合、編集者)は多忙な生き物です。それゆえ、ダラダラと長い文面は編集者の機嫌を損ねますし、営業に悪影響が出ます。端的な文章を心がけましょう。

「このメディアで書きたい!」という思いが強いとつい長文になってしまいがちですが、それが採用に結びついた例は聞いたことがありません。

編集者は「そのメディアのファン」を探しているわけではなく、「優秀なライター」を探しているだけなので、そこを勘違いしてはいけないのです。

あとで実際の営業メール例を挙げますが、イメージとして

  • 志望動機:3~5行
  • 過去の実績:1つあたり2~4行
  • 記事ネタ案:1つあたり3~5行

くらいには収めたいところ。なお、営業メールの文章力も見られているので注意して書きましょう。

ポイント2.過去の実績は必ず載せる

面識のない相手に営業する場合、相手が採用・不採用を決める大きな要因は「過去に書かれた記事」、つまりは応募者の実績です。

正直、実績がない状態で採用される可能性は極めて低いので、これは必ず載せるようにしましょう。できれば、営業先のメディアカラーに合った記事が2、3本あると心強いです。

とはいえ、駆け出しライターのうちは、目立った実績もないでしょう。その場合、個人ブログやnoteでも構わないので、「営業先のメディアで仕事を頼まれたつもりで、自分なりに記事を書いてみる」のがおすすめ。

報酬が発生しないため気乗りしないかもしれませんが、「実績は少ないけど、あなたのメディアに合っていて、かつ遜色ない出来の記事が書ける」ということを示せれば、実績の少なさを多少は補えます。

なお、最近とある編集者に話を聞いたところ「外部のメディアで書いている記事は編集の力で質が高くなっている可能性があり、編集の入っていない個人の記事も見たい」と言われました。実績豊富なライターでも、あえて個人ブログやnoteの記事を添付してみるのもアリです。

ポイント3.採用されたら書きたい記事ネタを書く

採用されたのちに書いてみたい記事ネタも載せるようにしましょうメディアは「企画力」のあるライターを求める傾向があり、そのライターが過去にどんな企画を出し、記事を書いてきたのかを見ています。

そのため、営業先のメディアカラーに合った企画を2、3本添付してみましょう。そのすべてが採用される可能性は低いでしょうが、光る企画があれば「この企画いいですね!まず1本書いてみますか?」と採用につながります。

ぜひ、記事を書きたいという思いを企画に込めてみてください。

2.実際の営業メール文面テンプレート

最後に、私が実際に営業メールを作成してみます。応募メディアによって文面は細かく変わっていますが、私が営業する際にはおおむねこの文面の構成を活用しています。

営業方法はライターによって千差万別のため、“正解”というわけではないのですが、一つの例として参考にしてみてください。

営業先は「Red Pencil(このメディア)」

営業メールの作成にあたり、例として「Red Pencil(つまりこのメディア)」に私が応募する場合を想定してみます。

応募にあたってメディアの情報を整理してみると、以下の通りになります。

  • メディアのコンセプト:ライター、編集者向け
  • 運営者:個人のフリーライター、編集者(法人ではないので、採用ハードルは低い……?)
  • 報酬:あまり高くなさそう
  • 記事の雰囲気:SEO記事が多め(取材記事もOKとフォームには書いてあります)、自由度高そう、収益・PVゴリゴリという雰囲気はない
  • 外部ライターの採用状況:まだ採用していないが応募フォームあり(絶賛募集中です)

これを踏まえて、文面を作成してみました。

実際の営業メール文面テンプレート

Red Pencil
編集長

突然のご連絡失礼いたします。私、フリーライター、編集者として活動している、齊藤颯人と申します。この度、貴媒体で記事を執筆したいと思い、応募いたしました。

普段は数多くのメディアで記事を書き、フリーランス向けメディア「Workship MAGAZINE」で編集者としても活動していますが、ライターや編集者向けの専門的な記事を書ける場が少なく、専門メディアでもっと細かい話を書いてみたいと思っています。また、私の新卒フリーライターという経歴を生かし、学生ライターや新卒ライターといった若い世代に焦点を当てた記事は得意分野です。

過去に書いた貴媒体に近いカラーの記事ですと、

「新卒カードや安定を捨ててでも、新卒フリーランスライターという茨の道を進んだ理由(企画、執筆)」
https://solopro.biz/hayatosaito-column-1/ 

「誰でも100万円稼げる?普通の人がダマされる「情報商材」の巧妙な罠(企画、取材、執筆)」
https://bizspa.jp/post-345465/

「1円ライターを脱するには「ニッチで面白い専門性」か「鋭い問題意識」が必要?ライターのキャリアアップを考える(企画、執筆)」
https://red-pencil.net/1yen-writer/

などがあります。

また、もし貴媒体で採用された場合、以下のような記事を書いてみたいと考えております。

①いきなり新卒で成功するにはどうしたらいい?初心者新卒ライターが先輩に聞いてみた

新卒フリーランスも少しずつみられるようになってきましたが、まだそのキャリアを歩む人数は少なく、新卒フリーランスがどれだけ大成したのか、あるいは上手くいかなくなっているのかよく分かりません。そこで、すでに新卒フリーランス出身ながらキャリアを積み重ね、売れっ子フリーライターとして第一線で活躍する○○さんに、新卒フリーライター活躍の秘訣を聞きます。

②ライタースクール、本当に必要?受講者の本音に迫る

昨今数が増えつつあるライタースクール。しかし、プログラミングや資格系に比べてライターのスキルやスタイルは十人十色で、明確な正解がないのも事実。スクールを受けたことはないのですが、受けるべきか迷うところもあります。そこで、実際にライタースクールを受講し「タメになった」という人と、「役に立たなかった」という人それぞれに話を聞き、ライタースクール受講者の本音に迫ります。

③本当にオススメの新宿・歌舞伎町のライター、編集者の集まるバー〇選

インターネットが普及した昨今でも、バーでの飲み友達から仕事につながるライターの例はよく耳にします。しかし、普通に生きていると「ライター・編集者の集まるバー」がどこにあるのかは検討もつきません。そこで、日本でも特に出版関係者の多い街・新宿の歌舞伎町で本当にオススメできるバーを、〇つ厳選してまとめてみます。

企画のほう以上になります。

もし、私にご興味を持っていただけましたら、お返事いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

3件のコメント

とても興味深く拝読しました。
Red Pencilという名前がまた、すごく素敵ですね!
素朴なギモンですが、なぜ、red penではなく、red pencilにされたのでしょうか。
プロライターさんたちは鉛筆を使う方が多いのですか?

お読みいただきありがとうございます!
「Red Pencil」という名前なのですが、英語のイディオムで「赤入れ」のことを「Red-Pencil」と表現するらしいのです。そこに由来するので、この名前にしてみました。

ご返信ありがとうございます。
またred-pencil の由来も教えて頂きありがとうございました。イディオムだったのですね!

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ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。