対面取材の取材場所はどうすべき?決め方と場所ごとのメリット・デメリット【はじめての取材:Vol.5】

ライターやジャーナリストのほとんどが経験する「取材」。しかし、学校で取材の方法について勉強する時間はなく、いざ取材やインタビューをするとなったとき、どのように進めていいのか分からない方も多いのではないでしょうか? わたしは出版社や新聞社を経ずに独学でフリーライターになったので、取材に慣れるまでとにかく苦労しました。

取材に正解はありません。それでも、ほかのライターが実際に取材をどのように申し込み、どのように進めているかが分かれば、はじめての取材が少しは楽になるハズ。

シリーズ連載「はじめての取材」第五回では、対面取材が決まった際の取材場所について、その決め方と場所ごとのメリット・デメリットを解説します。

1. 対面取材の目的をまず整理する

場所を決める前に、まず「対面取材の目的」を整理しましょう。これだけオンライン取材が普及している昨今ですから、「対面取材」をする場合には何かしらの目的があるはずです。

そして、何らかの事情でオンライン取材ができない場合を除くと、対面取材の目的は次の2点であることが多いでしょう。

  1. 何かしらを「体験」する取材だから
  2. しっかりと写真素材を揃えたいから

まず、前者は「旅行」「グルメ」「アクティビティ」など、オンラインでは体験できないことを体験する場合が想定されます。こちらに関しては取材場所も決めやすく、ほとんどの場合はその目的地を取材すればOKです。

しかし、問題は後者の場合。オンライン取材の場合、写真素材の提供を先方にお願いしなければなりません。芸能人などの場合は素材がそろっているので大丈夫なことが多いのですが、一般人を取材する場合には、経験上ほぼ良い写真が揃えられません。

これを嫌うメディアも多いので、オンライン取材ができても対面取材となるケースがあるのです。なお、それ以外にも「馴染みの相手だから取材ついでに直接会いたい」というパターンは意外とあります。

2. 取材場所ごとのメリット・デメリット

では、続いて対面取材でよく使われる取材場所を挙げ、そのメリット・デメリットを解説していきます。主な取材場所は以下の通りです。

  • オフィス
  • カフェ
  • レンタルスペース
  • 居酒屋
  • 野外(撮影のみ)

1. オフィス

結論から言えば、取材先が何かしらの会社で、オフィスがあるならそこで取材するのが一番。社内なので綺麗に清掃されていることが多いですし、会議室があるため、場所の確保を心配しないでいいからです。

また、会社関連の取材であれば会社の雰囲気をつかむことも重要なミッション。取材対象者だけでなく、会社のロゴや資料の撮影もしやすいので、多くのメリットがあります。

一方、フリーランスや一般人に取材する場合、オフィスを使用するのが難しかったり、そもそも勤務しているオフィスがなかったりします。古い会社だと照明が薄暗く、撮影に適さない環境になってしまっている場合も。取材対象者によってかなり環境が左右されてしまいます。

2. カフェ

カフェも王道の取材場所です。オフィスに比べて誰でも利用でき、利用料も飲食代だけと安価で、場所の確保も簡単というのがメリット。取材対象者をわざわざ遠くまで呼び出さずに済みます。

ただし、デメリットも多いのがカフェでの取材です。まず、カフェが混雑していて、取材に最適な席を確保できない可能性があります。あらかじめ先に店に入って席を確保することもできますが、混雑した店内の雑音は取材や録音の妨げになります。

また、カフェは場所ごとに環境が変わるので、初めて利用するカフェだと思わぬハプニングに遭遇するリスクも。写真撮影NGの店舗もあるため、事前確認が吉です。

個人的に、カフェでの取材は「写真がそれほど重要ではないインタビュー」に限られることも多くなりますが、撮影まで済ませたければ「ルノアール」や「コメダ珈琲」といった、少し高めで広々したスペースを確保できるチェーン店がおすすめです。

3. レンタルスペース

レンタルスペースでの取材は、とにかく安心感が段違い。事前に利用時間に合わせてスペースを予約できるので、場所の確保に確実性があります。また、雑音や障害物もなく、取材・撮影に集中できるでしょう。

清潔感のあるスペースも増えてきているため、写真のクオリティも確保しやすいです。昨今は写真目的で対面取材をすることも多く、私もよく利用します。

ただし、レンタルスペースは利用料が割高になるほか、カフェに比べて設置数が少ないため、郊外での取材の場合は使い勝手が悪くなります。

また、レンタルスペースは無人管理になっている場合も多く、「前の利用者が無断で利用時間をオーバーしていて、取材開始時間に入れない」というトラブルを経験しそうになったことがありました。意外なリスクですが、ぜひ頭に入れておきましょう。

4. 居酒屋

先に言っておくと、居酒屋での取材はかなりレアケースです。私は、「一緒に飲んでいた人が、たまたま飲みの席で気になる発言をしたため即席で取材」「お酒が入ったほうが面白い取材になりそうだと思った」という状況で経験しました。

居酒屋取材のメリットは、なんと言っても「お酒」。お酒が入ると人は饒舌になりますし、話が弾んで面白い取材になることもあります。

ですが、いい写真が撮りづらい、取材する側が酔うわけにはいかない、メモや録音が難しい、飲食代が高くつきやすい……など、デメリットを挙げればきりがないのも事実です。

5. 野外(撮影のみ)

取材はここまで挙げたいずれかの方法で済ませ、野外で撮影だけをするパターンはけっこう多いです。野外だと自然の光が入りやすく、自由にポージングをしてもらえるので、読者の目をひく質の高い写真を撮りたい場合には最適。

特に、野外での活動をメインにしている取材対象者の場合、野外で撮影した写真のほうが相手の「らしさ」を引き出しやすくなります。

一方、野外撮影最大の敵は「天候」です。基本的に雨が降ってしまうと撮影が難しくなるので、「もし晴れたら野外で写真を撮ろう」というように、サブの選択肢にしておくのが無難です。

また、取材場所の周りに良い撮影スポットがない場合もあるので、野外撮影を視野に入れる場合は、事前リサーチに加えて取材前に周囲を散策してみるといいでしょう。

まとめ:状況に合わせて、最適な取材場所を選ぼう

ここまで、おおまかな取材場所の決め方と、メリット・デメリットを見てきました。とはいえ、取材場所を取材対象者が指定してくれたり、誰がどう考えても取材場所が決まっている場合も多かったりと、いつも取材場所を決めないといけないわけではありません。

しかし、自分で判断して取材場所を決めなければならないケースも多いので、そんな時は状況に合わせて最適な取材場所を選んでください。

【連載:はじめての取材】

取材の様子
ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。