Webライターは絶対に一眼レフを買うべきか?ライターにとってのカメラを考える

「フリーライター カメラ」や「webライター カメラ」というキーワードで検索をかけてみると、駆け出しライターの皆さんが「一眼レフ」を買うべきか悩んでいる姿がよく分かります。

上位に表示されるサイトでは「一眼レフは必須」という結論で終わっていることが多いのですが、果たしてそれは本当なのでしょうか。

先に結論から言ってしまうと、「別に必須アイテムというわけではなく、必要になったら買えばいい」というのが私の考えです。

では、なぜそう考えるようになったのか。フリーライターになるまでカメラに全く興味のなかった私が、経験から解説していきます。

1.一眼レフが必須なのは、原則取材の時だけ

そもそも、ライターとしての経験がほとんどない方からすると「ライターがカメラを撮る機会があるのか」という点を疑問に感じるかもしれません。

これに関して言えば、写真を撮る機会はけっこうあります。特に取材をする場合はマスト。なぜなら、一般的なライターの場合はカメラマンが同行する例はほとんどなく、記事に必要な写真は自分で撮り、選定し、時には加工する必要があるからです。

しかし、一方で「ライターとして活動するのに、一眼レフは必須か」と言われると、必ずしもそんなことはありません。

なぜなら、「ライター」と一言でまとめてしまっても、執筆分野やメディアによって書く内容は人それぞれだから。

メディアによってはライター側ではなく編集部が独自に画像を選定することも珍しくはありませんし、こちらが用意する場合もフリー画像を使っていいという例は多いです。

また、取材を敢行するには手間もお金もかかるので、中・小規模メディアだとハナから取材を企画しない場合もあります。加えて、こうした事情から取材を任されるのはある程度経験を積んだライターになるため、クラウドソーシングで募集されるような安価な案件だと募集がほとんどない。

さらに、漫画や動画のシナリオを考える類のシナリオライターや放送作家、コピーライターの場合、写真を撮る必要さえありません。

取材(PRやインタビュー系の記事執筆)をするなら一眼レフは必要ですが、そうした仕事を任されていないorやる気がないなら、無理に一眼レフを買う必要はないでしょう。

2.写真の「芸術的な質」はあまり重視されない

もう一つ言えば、特にwebメディアの場合は写真が持つ「芸術的な面での質」はあまり重視されないことが多いです。一眼レフがマストと言われる取材記事であっても、それは同じ。

なぜかと言えば、記事の中にある写真は

  • 文章では伝わりにくい情報を補足する
  • 文字だけだと読者が飽きてしまうので、記事に変化をつける

という役割が主であり、「その写真がアーティスティックか」に関しては重要ではないからです。

言ってしまえばライターにとっての写真は「報道写真」に近く、私たちに求められるのは「文字だけでは伝わりづらい点を把握し、必要な写真を最適な構図で撮る力」だと考えています。

加えて、昨今のwebメディアは約7割がスマホからのアクセスであると言われているため、どんなに良い写真を撮っても7割は縮小された状態で読者のもとへと届きます。それでも良い写真であるに越したことはないのでしょうが、読者の多くは流し読みしているため、一枚一枚の写真をそれほどこだわる意味はあるのか?というのも実情です。

また、最近のスマホ内蔵カメラは性能が飛躍的に向上していますから、スマホで見る分には一眼レフとの違いも分からないものです(少なくとも、私には全然分かりません)。

もちろん、考え方は編集部やメディアのカラーによります。例えば、カメラ愛好家がよく読むサイトを運営しようと思ったら写真の質にはこだわるべきですし、芸術家向けのサイトであればアーティスティックな表現が求められるでしょう。

しかし、そもそも「ライターになって一眼レフの購入を検討しているような人間に、そんな案件は回ってこない」というのが実情なので、あまり気にしなくてもいいと思います。

3.なんやかんやであると便利だが、必要になったら買えばいい

ここまで「一眼レフ、ぶっちゃけ必須じゃなくね?」という話をしておきながら大変恐縮ですが、私はライターを始めて半年くらい経った頃に一眼レフを買いました(笑)

なぜ買ったかといえば、回答は実に単純明快で「必要になった」から。私の書きたいメディアでは一眼レフの所持がライター募集の必須要件だったので、それに合わせて買ったのです。

とはいえ、やはり買ってみると「なんやかんやで色々便利だな~」と感じる場面は多くあります。

1.望遠や夜間撮影で力を発揮してくれる

最近のスマホカメラも確かに質は上がっていますが、やはり望遠や夜間の撮影では素人目に見てもパワー不足を感じる場面は少なくありません。後述するように私が買った一眼は型落ちのオンボロマシンですが、それでもスマホカメラとの差はハッキリ分かります。

鴨川 夜
▲スマホで撮影した鴨川の夜景。記事に載せるにはやや画質が……
ベトナム 夜景
▲一眼で撮影したベトナムの夜景。これなら、掲載しても大丈夫

私は歴史や旅関連の記事を専門にするライターなので、遠くのものや暗いところを撮影する機会は多いです。自分のブログならまだしも、さすがにこの写真はクライアントに送りたくありません。

とはいえ、当然ながら夜間の光景が記事に不可欠ならば避けては通れないので、私の働き方には一眼レフが必要であったというのは間違いないでしょう。

ただ、最近のスマホカメラは飛躍的に性能が良くなっているので、簡単な撮影であれば一眼レフはもう要らないかもしれません。

2.ブログ用の撮影などにも役立つ

何度も書いてきたように、「一眼レフがマスト」という記事はそこまで多くありません。しかし、どうせ一眼を持っているなら、要求されていなくても活用したほうが合理的でしょう。

例えば、私の場合はブログ用の写真も一眼で撮影するようになりました。言うまでもなく、自分のブログに使う写真を判断するのは私自身。写真にさしたるこだわりがない以上、スマホ撮影のものでも問題はありません。しかし、一眼を買わざるを得なかった以上、「使わなきゃ損だよね!」という気持ちになりました。

一眼は重いうえに十分な管理が求められるので、やはり手間はかかります。が、写真の出来も良くなったような気がするので、ちょっとした自己満足に繋がりました。

また、ライターは時として「ブログ用に撮影していた写真が、仕事用の写真に変化する」ということもあり得ます。先ほど紹介したベトナム旅行の写真はまだ特定のクライアントに提供していないブログ写真ですが、仮に「ベトナムについて執筆してほしい」という依頼があった場合、一転して写真の性質が変化します。

このように撮った写真は無駄にならないため、一枚でも多くの写真を撮ろうという意識が生まれました。私はかねてから貧乏性のため「せっかく一眼を買ったんだし…」という思いも、撮影好きではない私にシャッターを切らせているように思います。

他にも、ライター活動のために買った一眼は家族旅行などでも役立つでしょうし、アクティブな方なら買ってみて損はしないのではないでしょうか。

3.「撮影の勉強でもしてみようかな」という気持ちが生まれる

私は撮影好きではないものの、それでも「せっかく一眼を買ったんだし、撮影の勉強でもしてみようかな…」という気持ちになることはあります。残念ながらまだ実行には移せていませんが、撮影に興味がない私にしては考えられなかった心境の変化です。

しかし、世間では「写真撮影」も立派な趣味の一つ。たとえ一銭の儲けにさえならなくとも、自分にとって最高の写真を求めて撮影を極める方は少なくありません。

そう考えれば、ライターとして必要に迫られて一眼を買うことで「新たな趣味」に出会える可能性もあるでしょう。いつの間にか、「今では書くよりも撮影のほうが好きになってしまった」なんてことになるかも。

加えて、撮影技術の向上は本業にも結び付くものです。記事に添付する写真の質が上がるのはもちろん、詳しくなっていけばカメラ系記事のライティングもできるでしょうし、「初心者から撮影技術を伸ばしたコツ」というようにストーリー性のある企画も出せます。

カメラは機材が高価なので出費が増えそうなのは玉にキズですが、撮影が上手くなって悪いことはありません。

4.私が買ったのは「中古の型落ち一眼レフ」と「便利レンズ」

最後に、私が普段使用している撮影の機材をご紹介します。

購入を検討した理由は「メディアに買えと言われたから」なので、本当に最低限のものを買うつもりで下調べを重ねました。

結果、ひとまず以下の条件を満たすカメラを買うことに。

  • なるべく安いこと
  • 「いかにも一眼レフ!」という見た目をしていること
  • スマホよりは良い写真が撮れること
  • オートフォーカスや手ぶれ補正など、初心者向け便利機能が充実していること

カメラに詳しい方が聞けば卒倒しそうな内容だと思いますが、私にとってはこれで十分でした。

1.中古でNicon D3200というカメラを購入

先の条件をもとに検討した結果、私が買ったのは2012年発売の「Nicon D3200」というカメラ。

レンズのことはよく分からなかったので、ひとまず純正のレンズが一本付いたキットモデルを選びました。

決め手は上記の条件をすべて満たしたうえで重量がレンズ込みの455gと軽量だったことと、中古の値段が21660円と格安だったこと。初の一眼購入で中古はハードルが高いとも思ったのですが、「カメラ専門店の中古なら、保証もあるし大ハズレはないだろう」「この値段なら多少雑に扱って壊れても悔いはないかな」と思えたのが購入のキッカケでした。

結論から言えば、私の用途に十分なカメラを買えたので大満足の買い物でした。

実に8年前のカメラで、今ではD3500という3世代後の後継機が出ている型落ちもいいところのモデルなのは事実です。

しかし、調べてみるとどうやら安価な一眼レフの性能はここ8年で大きく進歩しているというわけではなく、スペック表を見てもそれほど大きな差は感じられません。D3500の中古相場は35000円~40000円だったので、15000円ほど足す必要性は見出せませんでした。

確かに最新機種に比べれば劣る点も随分ありますが、工夫次第でなんとか改善できる点も少なくありませんし、特に不便を感じることもありません。私には最適なアイテムだったと思っています。

中古の製品に抵抗がある方は、ひとまずNicon D3500やCanon Kiss X9といったエントリー向け一眼レフを買っておけばよいのではないでしょうか。

2.追加でTamron製の望遠便利レンズを購入

私が買ったD3200は満足のいくものでしたが、一眼初心者だけあってとある勘違いをしてしまいました。

私の中で一眼レフといえば「望遠ができるもの」という認識でした。しかし、購入したレンズキットの付属レンズは焦点距離が18-55mm。今見ればそれほどの望遠機能がないことは分かるのですが、カメラを構えてみるまで実態がよく分かっていなかったのです。

そこで、付属のレンズとは別に新しく望遠に対応したレンズを買うことにしました。

まず最初に検討したのは、D3200のWズームキットに付属している純正の望遠レンズ。

これは焦点距離が55-200mmなので、付属のレンズで物足りなくなった場合に付け替えることで望遠撮影が可能になります。

一見すると良い選択肢にも思えるのですが、私的には大きな問題がありました。

このレンズを買うと、撮影対象に合わせて出先でいちいちレンズを交換しなければならないのです。私にとってこれは致命的なものでした。

第一に、旅の写真を撮る際には近くのものから遠くのものまで撮影します。その度にいちいちレンズを付け替えるのは大変なストレスで、仕事の効率も急落するのは目に見えています。レンズを汚したり落としたりするリスクも増えるでしょう。

第二に、旅をする際の手荷物はあまり増やしたくありません。史跡は信じられないような山奥にひっそりと居を構えていることも珍しくなく、登山を強いられることも。その際にレンズだけで二本も持ち歩くのは重量的に望ましくありませんし、レンズが痛む可能性も上がります。

…というわけで、純正のズームレンズを購入するのは諦めました。

次に候補として考えたのは、一本のレンズで近距離から望遠までカバーしてくれる「便利レンズ」なるものです。焦点距離が広いだけあって距離ごとの写真は専門レンズに劣ると言われていますが、私のようなライターには十分。それよりも付け替えの必要がない魅力は抗いがたいものがありました。

そこで便利レンズの購入を決めて調べてみた結果、レンズメーカーTamron製の望遠レンズ「18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD (Model B008)」を購入。

決め手は中古で13750円という価格で、純正や他社製の似たレンズの中で最安でした。加えて軽量かつオートフォーカス・手ぶれ補正にも対応しており、私の希望をすべて満たしてくれたからです。

これも実に満足のいく買い物で、最近はD3200とこのレンズを手荷物から外すことがほぼなくなりました。

ちなみに、Tamronの新品で似たものを探すと「18-200mm F/3.5-6.3 Di II VC (Model B018) 」が良さそう。

created by Rinker
タムロン(TAMRON)
¥16,800 (2024/03/18 20:31:19時点 Amazon調べ-詳細)

望遠距離が短くなっているのは少し気になりますが、私のレンズよりもさらに軽量化されているのは嬉しいポイントです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。