ライターを採用する立場から語る、良いポートフォリオの作り方。大切なのは「採用担当者」の視点

「Webライターになったら、過去の実績をまとめたポートフォリオを作って営業活動に使おう!」

このように、ライター初心者向けのコンテンツでは「ポートフォリオの重要さ」が強調されることも多いです。

確かに、現役ライターとして、またメディアの運営者として活動している私も、ポートフォリオの作成は大切だと思います。

しかし、世の中のライターさんのポートフォリオを見てみると、正直「知りたい情報が載っていないのに、あまり参考にならない情報はたくさん書いてあるな……」と思うことも多いです。

そこで、今回は現役ライター兼メディア運営者の私が、「良いポートフォリオのつくり方」を実例付きでまとめていきます。

1. ポートフォリオは「採用担当者の視点」に立ってつくるべき

ポートフォリオのつくり方を見ていく前に、まず「そもそも、何のためにポートフォリオをつくるのか」を考えなければいけません。

作成の理由は人それぞれかもしれませんが、ライターの多くは「クライアントに自分の情報や実績を知ってもらい、仕事の獲得につなげる」ことを狙って作成しているように感じます。

つまり、多くのライターがポートフォリオを作成する狙いは「新規案件の獲得」となるわけです。

そのため、ただの自己紹介に終始したり、過去の実績をいたずらに羅列しても意味はありません。採用担当者の目線に立って「こんな部分でライターを判断しているだろう」「この情報を知ってくれたらプラスの印象を与えられるはずだ」という部分に意識を向ける必要があるのです。

2. ポートフォリオに盛り込むべき5つのポイント

ポートフォリオを作成する狙いが分かったところで、実際にポートフォリオに盛り込むべきポイントをまとめてみます。

ただ、細かな盛り込むべきポイントはライターの経歴によって変わってくると思いますので、あくまで一例として参考にしていただければと思います。

ちなみに、私のポートフォリオはこちらです。気になる方はご覧ください。

1. 自己紹介

このポートフォリオは、そもそも私のことを全く知らない相手が見ることも十分想定されます。そのため、ライターとしての実績以前に、素性が分かる最低限の自己紹介はしておくのがおすすめです。

身分を明かせる範囲は人それぞれだと思いますが、私の場合は

  1. 名前
  2. 出身地
  3. 学歴
  4. ライターになった時期

を公開しています。

2. 得意とする執筆ジャンル・過去に経験した執筆領域

続いて、ライターとしての自己紹介に入ります。

これは個人的な印象ですが、私というライターを知ってもらうためには、ただ過去の実績を羅列するだけでは不十分だと考えています。採用担当者は一つ一つの記事を吟味できるほどの時間はないでしょうし、まずはざっくりと私について知ってもらうべきだと考えるからです。

そこで、私は「得意とする執筆ジャンル」「過去に経験した執筆領域」を一目で分かるようにまとめ、過去の実績を語る前に読んでもらうよう工夫しています。

3. 過去の実績

ここまでの内容で私のことをざっくりと知ってもらったら、いよいよ実績紹介に入ります。

私は、実績を媒体別(紙、Web)、役割別(ライティング、編集)などに分け、各媒体での代表記事を1記事選んで掲載しています。

1記事の抜粋基準は、だいたい以下の要素から考えていきます。

  1. PR記事があれば優先(PR記事は信頼できるライターに任せることが多いから)
  2. 記事のPV数
  3. 記事の反響
  4. 自分らしさが出ている記事
  5. お気に入りの記事

また、ジャンルではなく媒体ごとに記事を選ぶ理由は、「どんな媒体で書いているかで、おおよそのライターの実力が分かる」から。良い媒体で書いていることをまずアピールし、採用担当者の目を引きます。

また、第三者の視点だけで記事を見ると分からない情報もフォローします。それは、私がその記事でどんな部分の作業を担当したかです。ただ企画や構成案を編集部からもらって本文を書いただけなのか、それとも企画出しから構成づくり、取材までを全部一人で担当したのか。これをハッキリと書きます。

採用担当者に「私がどこまでの作業を担当したのか」をしっかり伝え、企画出しや取材までできることをアピールするのが狙いです。

4. 引き受けている主な業務

過去の実績を通じて私のことをしっかり理解してもらえたところで、次に「引き受けている主な業務」をまとめています。

ここまでの内容を見たうえで、有り難いことに私に興味を示してくれた方に対し「私はこんな業務を引き受けていますよ~」と業務例を示し、相談のハードルを引き下げることが狙いです。

とはいえ、未経験の分野でも面白そうな相談は受け付けているので、「今までこんな仕事をしてきましたが、新しいジャンルへも挑戦していきたいです」という一言も添えています。

5. 単価感と問い合わせ先

最後に、ここまでポートフォリオを読んで「ぜひ一緒に仕事をしてみたい!」と思ってもらえた方向けに、業務の単価感と問い合わせ先を伝えます。

先に単価を伝えるかどうかは好みが分かれそうですが、具体的な相談を始めてから「単価感が合わない」となってはお互いに時間を無駄にしてしまうと考え、あえて記入しています。

問い合わせ先を載せる理由は言うまでもないですが、私はメールアドレスだけでなくSNSも載せています。SNS経由のほうが気軽に問い合わせられるという方も多いでしょうし、普段の私を見てもらうことで人柄も分かるようにという気持ちからです。

まとめ:名刺からポートフォリオに飛べるとなおGood

ここまで、私なりの良いポートフォリオの作成方法をまとめてみました。

正直、まだまだ自分自身も答えを模索中ですが、ライター初心者の方はある程度この記事を参考にしてポートフォリオをつくれば、大外れはないものができると思います。

ちなみに、私のポートフォリオ作成の細かなこだわりは、「自分の名刺にポートフォリオへ飛べるQRコードを貼ること」です。

出先で「あなたの記事を読んでみたいです!」と言われた際、サッと名刺を取り出して「このQRコードから読めますよ」と素早く記事へ誘導できるので、けっこう重宝しています。

名刺交換の機会が多い方は試してみるといいかもしれません。

ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。