料理人がフリーライターとして独立した3つの理由。ブラック飲食業界で悟った限界と将来の夢

こんにちは。フリーライター・料理人の野澤卓矢です。

私は大学卒業後、新卒で焼肉店に入社して以来約10年間、正社員として飲食業で働いてきました。

「自分には飲食しかない」

そう思っていましたが、現在はフリーライターとして活動し、サブとして飲食店でアルバイトをしています。

飲食店の先輩や同僚達には「ここまで飲食一本でがんばってきたのにもったいない」とも言われました。

それでも私がライターを始めたのには3つの理由があります。今回の記事では、飲食店の正社員時代から、ライターになるまでの経緯を中心に触れていきます。

飲食で働きはじめ、やがてイタリアンへの思いが芽生える

新卒で焼肉店に入社した時点では、料理そのものにさほど興味はなかったです。自分が作った料理やサービスで、お客様の幸せな時間に携われるだけで満足でした。

しかし、初めてお昼の「まかない」をつくった際に、ベテランの先輩社員やホールの学生アルバイトなどから「すごい美味しいよ!」「センスあるよ!」などと言われたことをきっかけに、私の人生は料理に吸い寄せられていくようになります。

料理が好きになった私は、特にイタリアンに興味を抱くようになり、5年ほど勤めた「ある程度大きいチェーンで待遇も良かった焼肉店」をまわりの反対を押しきり退職しました。

「休みも少なくなる。給料も少なくなる。それでもイタリアンで働いてパスタを作れるようになりたい!」

いつのまにか、イタリアンに心酔していた私は、なけなしの貯金をはたいて単身イタリアに飛びました。(修業するのであればかっこいいですが、あくまでも食べ歩きのためです)。

10日ほどイタリアの道に迷いながらイタリアンを食べ歩いた私は、帰国後もひたすらにイタリアンレストランを食べ歩き、「ここだ」と思う小さな個人店で働きはじめます。

とても辛い毎日ではありましたが、5年ほどの努力の結果、焼肉店退社時の「パスタを作れるようになる」という目標は達成できました。

飲食一筋だった私がライターを志した3つの理由

私がなぜライターを始めたのか。それには3つの理由があります。

ひと言で言うと「飲食で挫折したから」とも言えますが、ポジティブな面もあるので、以下で詳しく解説していきます。

理由1. 飲食の業務自体が辛すぎる

「イタリアンで働けるなら休みなんていらない」そう豪語していた私は、勤務しはじめて早々に「チェーン店ではない飲食店」の現実に直面します。

  • 人手不足で営業自体がとにかく忙しい
  • ランチ営業をしながら食材(山のような野菜や魚)の下処理や仕込みをしなくてはならない
  • 慣れていないため全ての作業が遅く、毎日怒鳴られる上に休憩がとれない
  • 仕込みが終わらないから閉店後に1人で居残り

年末の繁忙期には、独り店に残って夜中3時まで仕込みをしていた事もありました。家に帰ってソファに座っているといつのまにか寝ている。そんな日々。料理に対する情熱は次第に薄れ、いつの間にか「早くやめたい」とすら思うようになっていました。

理由2. クセのある人が多すぎる

飲食店には、以下のようなクセのある人が多い傾向があると感じました。

  • コミュニケーションが下手で、必ず相手の言葉に対し否定から入る
  • 自分で全ての仕事を完遂したいため、手伝おうとすると怒る
  • そのくせ、忙しい時に手伝おうとしないと怒る
  • 忙しくなるとすぐにフライパンを投げる(たまに殴る)
  • 採用面接時に待遇について嘘をつく(新人が入社してもすぐにやめてしまう)
  • 人手が足りないことをわかっているのに、営業のピーク時に上司がなぜか外出して帰ってこない

もちろん、全ての飲食人が上記のような人ではありません。しかし、私の経験上、気質的な傾向としては「職人」で「パワハラ」的な人が多いのではないかと思います。

過酷な業務に加え、上記のような人達と一日中同じ空間にいなければならないことで、さらに私は追いつめられていきました。

理由3. 飲食業一本では幸せになれない

当たり前のことですが、お店にお客様がいらしてくれないと自分達の給料は発生しません。

しかし、忙しければ忙しいほど、できるだけ速く正確な動きで料理を作り、お客様にサーブし、お客様が帰ればすぐにバッシングして、客席を回転させる必要があります。

そして営業が終われば、山のように溜まった洗い物を片付け、そこから仕込みを始めるのです。「ディナー営業に間に合わなくなってしまうから」と休憩が無いどころか、まかないを食べないこともしばしば。

当時は、料理の勉強などする気になれず「とにかく休憩したい」と毎日頭の中で叫んでいました。

以上のような業務の辛さとは釣り合わない「休みと給料の少なさ」(休みは月5日で、当時の給料を時給に換算したら900円台でした)もあり、いつしか私は

「飲食店のような労働集約型の仕事一本では、一生辛いままだ」

こう思うようになりました。

もちろん、独立を目指している先輩の中には、休憩を削って新メニューの試作をしたり、本を読んでワインの勉強をしたりしている人もいます。そんな人達の気持ちは前向きです。

単純に尊敬します。こういった先輩方は独立しても成功できるだろうし、たとえ休みが少なかったとしても幸せなのかもしれません。

しかし、私は違いました。

「飲食は好きだけど、時間とお金も欲しい!」

そんな思いから、私はライターの仕事を始めることにしたのです。

ライターも飲食業も上手くいかない悪循環

「ライターで効率良く稼げるようになれば、時間とお金が生まれる」
「すると心の余裕が生まれ、料理の勉強もできるはず」

意気揚々とライターデビューした私ですが、なかなかうまくはいきません。

クラウドワークスに登録し、たくさんのライティング案件に応募してみたものの、なかなか仕事が取れない。取れたとしても時給に換算したら100円ほどにしかならない仕事ばかり。

このような状態が続くことで焦りが生まれてしまい、自由な時間が生まれたのにも関わらず、収入の減少も手伝い、毎日を楽しめなくなっていました。

1日に長時間パソコンにかじりついているため、疲れが溜まり飲食店の仕事中にミスを連発してしまうなど、悪循環に陥ってしまったのです。

友人に仕事を紹介してもらって悪循環を脱出

収入が減ったことで、将来の不安に押しつぶされそうになっていた私に、ある時救いの手が差し伸べられます。

焼肉店時代の同期が、Web系のフリーランスとして独立しており、ライティングの仕事を紹介してもらえることになったのです。

その内容は友人が運営している婚活系メディアや、合宿免許についての記事作成のお仕事でした。これまでクラウドワークスで受注していた案件より格段に条件が良く、婚活系メディアに関しては現在も継続して仕事を振ってもらっています。

納期は厳しい時もありましたが、全力でこなして初めて報酬をいただいた時は非常に嬉しかったです。

「初めて自分の文章が認められた」と感じられ、少しだけ自信がつきました。

自信がつくと人生は良い方向にまわり始めるもの。次第に飲食店の仕事も楽しめるようになっていきました。

今では、クラウドワークスでも文字単価1円の仕事を受注できるようになってきており、とりあえず生活費の心配はしなくても良い状況です。

仕事を紹介してくれた友人には感謝しかありません。

将来は海沿いに住み、無理のない飲食店を経営したい

今後の私の人生は、以下の流れで進めていく予定です。

  1. ライターとしてのスキルを上げ収入を増やす。同時に飲食店のアルバイトで調理、接客のスキルを上げる
  2. 海沿いに引っ越し、こじんまりとした店を出す

店のコンセプトは、とれたての魚をふんだんに使った「その日しか食べられない魚介パスタの店」にします。営業はランチのみです。

加えて、以下が理想の一日の流れです。

毎朝サーフィンをしにいき、帰り道に仲良くしている魚屋さんから新鮮な魚介を安く仕入れる

  1. 仕込みをし、ランチ営業
  2. 片付け
  3. 夕日を拝みながらサーフィン
  4. 近くのお店にお酒を呑みに行く

ランチのみの飲食店など、ほぼ前例がありません(出店してもすぐに閉店してしまいます)。

ランチは客単価も安くなってしまい、忙しいわりに儲けが少ないのが通例だからです。

そのため「儲からなくても良い飲食店を運営できるだけの収入を得ること」を私の第一の目標としています。

こんな都合の良い話をしたら、飲食業時代の先輩には笑われるどころか、怒られるかもしれません。

しかし、私は貪欲に「時間」と「お金」どちらも手にいれたいのです。これからもライターとして、飲食人として、理想の生活を得るための努力を続けていくつもりです。

ABOUT US
野澤 卓矢
飲食店で働きながらライターをしているおじさん。 飲食店での仕事に限界を感じ、「理想の生活」を実現するためにライターを始めた。 自分の中でライティングと飲食業をつなげて人生を面白くしたいと模索中。 音楽と海とお酒が大好き。 最近接客が好きになったので取材をやってみたい。