こんにちは、フリーライター/編集者の齊藤颯人です。
この度、私はライター、編集者のためのニッチなメディア『Red Pencil』を創刊しました。実質最初の記事ということで、個人メディア苦境の時代に新メディアを創刊するに至った理由を話してみます。
1.ライティングや編集について商業的に書く場は、意外にない
私がフリーライターとして約2年ほど活動してみて分かったことは「ライティングや編集について商業的に書く場は、意外にない」ということ。
私は多くのメディアで記事を書いていますが、意外にもこうしたネタで記事を書いたことはほとんどありません。歴史やフリーランス、旅行といったある程度専門的に書いている分野から、政治や税金、伝統芸能・工芸、スポーツなど幅広いジャンルで記事を書いているにもかかわらずです。
なぜそうなるかといえば、単純にこの手のネタは企画として成立しづらいから。ライターや編集者の人口は少ないので、たとえ同業者に響くネタでもPVにつながりにくく、商業ベースだとなかなか記事が出せないのです。実際、「面白そうだけどPVが取れないから」という理由で何度も企画がボツになった経験もあります。
しかし、ライターや編集者として働いていると、どうしても仕事に関して発信したいことはたまっていきます。が、書く場所はないというジレンマ。
……こう書くと、「じゃあ個人ブログやnoteで書けばいいじゃないか」と言われるかもしれません。たしかに、それは正論です。おっしゃる通り。
それを分かったうえで、あえて「ブログ」ではなく「メディア」という形で展開したのには、もちろん理由があります。
2.ライティングや編集を専門に扱うメディアも、意外とない
先ほど「ライティングや編集について商業的に書く場は、意外にない」と話しましたが、この現象を引き起こす大きな原因は「ライティングや編集を専門に扱うメディアも、意外とない」というもの。
最近、ようやく紙媒体では『ライターマガジン』というライター専門誌が登場しましたが、Webメディアではまだ有力な専門メディアがない、と私は認識しています。
しかし、考えればこれはずいぶんと不思議な現象です。なぜなら、Webメディアの数だけライターや編集者がいて、彼らの多くがメディアを立ち上げたり、運営したりする能力に長けているのに、肝心の自分たちに関するメディアがないのですから。
もっとも、この理由は先に触れた「需要のなさ」で説明できます。
例えば、月刊誌の『ライターマガジン』は1巻(Vol.1は68ページ)あたりいくらだと思いますか?
その答えは、なんと2750円(Amazon調べ)。全677ページの『文藝春秋2021年2月号』が880円であることを考えれば、ハッキリ言って高すぎです。
それでもこの値段設定になる理由は、この値段設定にしないとビジネスにならないんでしょう(あくまで推測ですが……)。
実際、学術系の専門書だと1冊が1万円を超えるものもあり、需要の少ない専門書は値段が高くなる傾向にありますから、同じことが起こっていると考えます。つまり、値段高騰の理由は、出版社が悪いわけでも、取材や原稿料が高すぎるわけでもなく、あんまり売れそうにないからなんですね。そう考えれば、専門Webメディアが生まれない理由も分かるというものです。
さらに、「ライター・編集者は養成、就業に関する工程をマネタイズしづらい」という業界的な構造もWebメディアの状況に影響していると思います。
ライターや編集者と同じく、それほど需要が多くないにもかかわらず数多くの有力Webメディアがあるジャンルとして挙げられるのは、例えば「エンジニア」や「プログラミング」です。
エンジニアやプログラマーは決して多くありませんが、彼らを対象にしたWebメディアが多くなる理由は以下の点が影響していると考えます。
- プログラミングは学習が大変な一方、言語習得のプロセスにはある程度共通のノウハウがあるため、スクールビジネスが成立する→スクールへの誘導が収益を生む
- エンジニアは給料が高く、就業を目指す層が多い→初心者向け情報の需要が多い
- スキルや資格さえあれば人材を受け入れる文化があり、転職や独立が成功しやすい→マッチングサービスへの誘導が収益を生む
- 技術の流行り廃りが早く、最新の情報を常にキャッチアップする必要がある→就業後のエンジニアにも技術論の需要がある
つまり、端的に言えば「マネタイズポイントが多い」ために、多少需要が少なくとも雨後の筍のようにメディアが乱立するのです。
ちなみに、上記の点をライター、編集者業界にあてはめてみると
- 技術を身につけるのは意外と難しいが、ライターとして独立するのは簡単で、技術も十人十色なためスクールビジネスにはあまり向かない
- 目指す層は少なくないが、フリーランスの場合は給料が低い
- 基本的に知り合いの紹介やリアルでの出会いから仕事や雇用が始まるため、閉鎖的でマッチングや転職サービスの市場としては不適格
- 技術の流行り廃りはあるが、業界としてあまりそれをキャッチアップしようという風土もなく、技術論の需要に乏しい
……という感じ。Webメディアの作り手たる自身のWebメディアが、トップクラスに成立しづらいのはなんたる皮肉でしょう。
しかし、たとえ需要がなくとも、大したお金にならなくとも、個人ブログの延長として赤字覚悟でのんびりやっていく分には何の問題もありません。「専門メディアがないなら、自分で作ればいいじゃない」の精神でこのメディアは生まれました。
3.今までのメディア運営で得た知見を活かし、さらに向上させたい
個人ブログも含めればWordPressを用いた収益を意識したメディアの立ち上げは初めてではなく、これで3つ目のメディア開設になります。今までのメディア立ち上げ、運営で得た知見に加え、個人メディア以外でもフリーライターとして数多くかかわってきたメディアで得た経験を活かし、理想のメディアを作ってみたいという思いもありました。
今までは、ついついベタベタなSEO狙いのこたつ記事ばかり作ってしまったり、コピペのような記事を発信してしまったりしがちだったので、フリーライターとしての仕事と同じ手法で取材記事などにも臨みつつ、本業よりは多少自由にやっていければと思っています。
さらに、自分でしっかりとメディア運営をすることで、ほかのWebメディアにかかわる際にも、ここで得た知見を活かせるのではないかという狙いもあります。これは今までも意識していた点ではあるのですが、結局あまり本業とリンクさせられなかったので、今回こそはという思いも。
4.ライターメディアの編集長って、カッコよくないですか?
ここまで真面目に書いてきて、いきなりこの言い草である。ただ、カッコいいものに憧れるのは人間の性。仕方ないですね。
そう、このメディアを立ち上げることで、私は「ライターメディアの編集長をしているフリーライター」という称号を手に入れられるのです。しつこいくらい言いますが、これって超カッコよくないですか!?
ポートフォリオにも書けますし、メディアのプロフィール欄にも書けますし、bioにも、名刺にも「ライターメディア編集長」と書けるのです。
ただ、ネタ9割とはいえ真剣な思いもないわけではないんですよ。今はまだ「個人ブログの延長でライターメディアの編集長を名乗っている分不相応なヤツ」でも、まずは言ってみることが大切だと思っているから。これは、まだロクでもないアプリのレビュー記事を書いていたり、彼女いない歴=年齢の時代にマッチングアプリのエピソードを書いていたころから「ライター」と名乗り続け、結果今ではまあライターと公言しても間違いではない程度の経験は積めたことに由来します。恥ずかしげもなく「ライター」と言い続けたことで得た仕事もありましたしね。
5.一緒に記事を書いてくれる方、取材を受けてくれる方、大歓迎です!
……というわけで、このメディアを立ち上げた動機を書いてきました。
個人ブログの延長くらいでゆるゆるやっていくつもりですが、ライターや編集者の世界は人によってアプローチがほんとうに変わってくるので、色々な方に記事を書いてほしいと思っています。当メディアでは、外部ライターさんを積極的に募集しています(未経験からでもOK)。
また、同時に取材を受けてくださるライター、編集者の方も大募集中!
もし、応募してくださるという方は、下記のページよりご一報ください!いつでも歓迎いたします。
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