ライター/編集インターン志望の学生に読んでほしい「良いインターン先」の選び方!適当に探すのはNGです

大学生の働き方が多様化する昨今。学生が長期インターンで働くことは当たり前になり、人気を高めている働き方が「ライター・編集インターン」です。学業と両立しながらスキルを学べるとして、働き手/雇い手ともに需要が増しています。

しかし、そんなライター・編集インターンを受け入れている雇い手には、かなりの優劣があります。なんとなくライター・編集インターンをやってみたいからといって、Wantedlyなどで出てきた適当な編集部に応募するのは絶対NG。

今回の記事では、私が過去に見た「悪いライター・編集インターン先」に入社してしまった学生の実例と、ライター・編集インターン先の選び方を解説します。

1.悪いインターン先に入社してしまった学生の実例

以前、私はとあるメディアで取材を受けました。その際に取材を担当してくれた学生は、先方でインターン生として働くライターでした(本人からそう聞いたわけではありませんが、状況証拠からそう判断できました)。

興味深いテーマでの取材だったので、楽しく取材そのものは終えられたものの、問題はその後に発生しました。

「原稿が完成したので、ご確認お願いします!」

と私のもとに送られてきた原稿は、目を覆いたくなるほどひどいものだったのです。

  • 取材内容がほとんど反映されていない
  • 大量の誤字脱字、事実誤認
  • 論理構造が破綻している文章

というありさまで、もはや一切取材しないで脳内で勝手に記事を書きあげてしまったのかと思いました。

呆れ半分、怒り半分といった感じでしたが、ふと取材中の一幕を思い出し、突然悲しみが押し寄せてきました。

そう、この学生はわたしの出身校の後輩だったのです。相手のことは知りませんでしたが、私が学生新聞などにたびたび登場していたこともあり、相手は私のことを知っていて話が盛り上がったのです。

手前味噌ですが、私の出身校は世間的に見れば偏差値はわりと高いほう。ある程度勉強はできる学生のはずです。しかし、その学生にこんな文章を書かせ、たいした指導をしていないであろう編集部への怒りが沸き上がりました。

彼が卒業後は一切ライティングにかかわらず、全く関係のない仕事をするならまだいいです(インターンをしていた意味はなくなりますが……)。しかし、「修行もできたし、ライターとして生きていこう!」とでも思おうものなら、その先に待っているのは間違いなく破滅でしょう。

この一件から、何の役にも立たないインターンをする学生をひとりでも減らしたいと思うようになりました。

2.悪いインターン先が生まれるメカニズム

では、なぜこうした「悪いインターン先」が生まれてしまうのでしょうか。

メカニズムは非常に単純で、「そもそもインターン生に問題がある」場合を除けば、そのインターン先が下記2点のどちらかにあてはまっているからです。

  • インターン生を育てる気がない
  • 会社側にも大したスキルがなく、育てられない

前者は「意欲」の問題で、後者は「スキル」の問題といえるでしょう。ただし、どちらであってもインターン生を受け入れた以上は育成するのが義務であり、インターン生を受け入れる資格はないといえます。

それでもインターン生を受け入れる理由は、彼らを「安い労働力」だと考えているから。単にバイトを募集するより若くてやる気のある学生が集まりやすいですし、「スキルアップ」を盾にガッツリ働かせることもできます。

3.良いライター/編集インターン先の選び方3選

では、上記のようなインターン先を選ばないために、私たちはどうすればいいのでしょうか? 業界未経験の学生でも見分けられる3つのポイントを解説します。

1.好きな記事を書くインターン先に入る

非常にシンプルですが、「自分が読者として好きな記事をつくっている編集部、編集プロダクション」に入るのが一番の近道です。

なぜなら、そのインターン先は読者としての自分に届き、自分のためになる記事を書いてくれているから。しかも、自分の好きな記事を書くインターン先は、自分と相性がいい可能性も高いです。実際、私も業務委託で編集の仕事を始めようと思った際には、自分の好きなメディアに応募しました。

もちろん、「普段Webメディアとか雑誌は全然見ないし……」という人もいるでしょう。しかし、その状態で業界に入ってしまうと、とんでもないインターン先を引いてしまいかねません。具体化はできなくても、最低限「こんな方向性でこんな記事を書く組織に入りたい」というくらいは目標を明確にしておきましょう。

2.ある程度人気があり、取材を重視するインターン先に入る

メディアの世界では「人気」が非常に重要で、身も蓋もないことを言ってしまうと人気のあるメディアが勝者なのです。

つまり、人気のある「勝ち組メディア」は良い記事を書く技術が洗練されている可能性が高く、インターン先の有力候補になります。

しかし、「人気」だけだと、低品質なメディアながらただ単に大量の記事を出しているだけで人気になっている可能性があります。

こうしたインターン先を回避するためには、「取材」を重視する組織に入るべきでしょう。なぜなら、取材は人的/時間的コストが多くかかるため、記事の質を重視しないメディアは力を入れないことが多いから。また、取材力は編集部に所属して学ばないとなかなか身につかないのも現状なので、組織で学ぶ意義が大きいジャンルでもあります。

ただし、逆に人気がありすぎるメディアだと、ライティングや編集をできるのが一握りの社員やフリーランスだけで、インターン生は延々と雑用を強いられる可能性も。なので、「50万PV~500万PV」くらいまでの数字を持つ編集部に入っておくと、適度に裁量を与えられつつ、大きな経験ができると考えています。

3.「中の人」がよくわかるインターン先に入る

実力があり、人気の編集者やメディア関係者は、頻繁にイベントやセミナーの登壇者として声がかかります(私ですら、何度かイベント出演経験はあります)。

そのため、人気メディアの編集者はあちこちのイベントに引っ張りだこ。外部の人間でも簡単にその人の話を聞けます。

先ほど言ったように「人気者は実力者の可能性が高い」ので、こうして積極的にメディアに露出している編集者やライターが所属するインターン先を選ぶと、ハズレを引きにくいです。顔出しで話しているところを見られると人となりや自分との相性が分かるのでベストですが、外部メディアに寄稿している記事や、身分のわかるSNSを公開しているだけでも全然違います。

SNSのインフルエンサーのなかには素性が分からないメディア関係者も多く、その場合はいくら参考になることを言っていても割り引いて考えるべきでしょう。身分を公開できない理由はさまざまですが、「後ろめたいことがあって身分を公開できない」という可能性を捨てられない以上、業界のことが分からないうちは信用しないという選択をしてもいいと思います。

4.インターン先次第で、その後のキャリアは一変します

業界未経験の学生が最初に加入するインターン先は、その後のキャリアを大きく左右します。私の知り合いでも、優秀な編集プロダクションで修行し、一人前のフリーライターになった学生がいます。一方、インターン先を間違えると、さきほど例に出した学生のようになってしまうのです。

「とりあえずどこでもいいから適当にいま募集しているインターン先を選ぶ」のではなく、自分の将来につながる優秀なインターン先を選びましょう!

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ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。