Webメディアはどう収益化されてる?ライターなら知っておきたいマネタイズ方法8選

世の中には無数のWebメディアがありますが、その多くは営利目的で運営されています。そこで発生した収益が原稿料という形で間接的に還元されることになるため、メディアの収益化方法はライターも知っておくべき知識です。

今回は、あらゆるWebメディアがどう収益化(マネタイズ)を行っているか、その具体的な手法8つを見ていきましょう。

1.アドネットワーク広告

もっとも主流のマネタイズ方法です。Google AdSenseなどのアドネットワーク広告をサイトに掲載し、その広告が表示されたり、クリックされたりした数に応じてメディアに収益が支払われます。

導入が非常に手軽できるうえ、広告が利用者によってターゲティングされるため、あらゆるジャンルのメディアになじむのがメリット。しかし、良くも悪くもPVの多さがそのまま収益につながるため、PVだけを狙った煽り記事が続出したり、単体の収益力が低くほかの広告手法と組み合わせない限り低収入に苦しみやすかったりというデメリットもあります。

導入例:ほぼすべてのニュースメディア、キュレーションサイトなど

2.純広告

メディア上にバナーや画像などの広告を出稿してもらい、出稿者から直接収益を得る手法です。利用者からすれば上記のアドネットワークと大差ないのですが、メディアからすると実態が大きく異なります。

純広告は出稿者から直接収益を受け取れる都合上、広告料が高い傾向にあります。また、メディア側も出稿者を見て広告配信を判断できるため、アドネットワークのように意図しない広告が配信されてしまうこともありません。

一方、その仕組み上どうしても出稿者を見つけにくく、導入難易度は高くなりやすいです。

導入例:大規模なニュースメディア、キュレーションサイトなど

3.アフィリエイト

とある商品やサービスを紹介し、案件が成約したらメディアに収益が入ってくるのがアフィリエイト。「アフィリエイター」という言葉が社会に根付く程度には人気のあるマネタイズ方法です。

アフィリエイトが愛される理由は、個人サイトでも手軽に掲載できるハードルの低さ。一方、高額の商品を紹介できれば1件数千円の報酬も得られるため、元手や手間をかけない収益化として愛されてきました。

しかし、その性質上「商品の成約を主眼にした記事」を書かなければならず、記事の差別化が難しくなったり、報酬のよい商品を実態以上に持ち上げたりといった問題も起こりました。また、近年はアフィリエイトサイトがGoogleから低く評価されやすくなったほか、報酬相場も下がりつつあり、やや落ち目な印象はぬぐえません。

導入例:小規模な企業サイトや個人ブログなど

4.記事広告

通常、記事はメディア側が主導で制作されますが、出稿者が「ウチの商品やサービスを扱った記事を書いてほしい」と企画を持ち込み、掲載料を支払う形で書いてもらった記事を「記事広告」といいます。

記事広告は、上記で見てきたような「いかにもな広告」ではなく、メディアのほかの記事に溶け込んだ形で配信されるので、広告臭さがなくなるのがメリット。広告料が1件数十~数百万円になるのも珍しくなく、メディアにとっても、ライターにとっても実入りがよくなります。それゆえ、記事広告を収益の柱にすえるメディアも増えてきました。

ただし、有償記事ゆえに出稿者側の主張を優先しなければならず、中立的な情報発信は困難になります。また、多くの人をまきこむ重要な案件になるので、優秀なライターやカメラマンをアサインしなければならないのもデメリットですね。

導入例:ニュース、報道色の薄いメディアなど

5.記事の有料化

わたしたちは、「Web記事は無料で読めるもの」とイメージしてしまいがち。しかし、世の中には記事を有料化し、本を買うように個別課金をしてもらうことでマネタイズしているメディアもあります。

その代表例が、個人で気軽に記事を書き、有償販売もできるとしてユーザーを伸ばした「note」でしょう。誰が・何を書くかにも左右されますが、人気noteの有料記事は飛ぶように売れることも。「ユーザーがお金を出せば儲かる」という、分かりやすく割のいいビジネスモデルが魅力です。

一方、無料記事に慣れている読者に有料記事を買わせるのは楽ではなく、記事ごとに収益がばらついてしまうため、メディアで導入すると収益が不安定になることも。また、性質上記事のシェアや宣伝が難しく、影響力の乏しいメディアでは全く稼げない恐れもあります。

導入例:インフルエンサーのブログや熱心な読者の多いメディアなど

6.サブスクリプション

NetflixやAmazonプライムなどの影響で社会に定着したサブスクリプションも、マネタイズ方法の一つ。定額課金させることにより、安定した収益と腰をすえたコンテンツづくりに取り組めるのがメリットです。

実際、これまで新聞は「サブスク型」のマネタイズをしており、現在でも新聞社系のWebメディアはこの方法を好む傾向にあります。

しかし、記事に課金させるのと同様にサブスクを申し込ませるのはハードルが高く、宣伝も難しくなります。また、なんとかして解約されるのを防がなくてはならないため、つねに高品質な記事を生み出し続ける必要があるのも事実です。

導入例:新聞社系のWebメディアなど

7.自社製品の購入、サービスへの加入促進

ここまではメディア単体でのマネタイズ手法でしたが、それ以外にもマネタイズの方法はあります。その代表例が、自社製品やサービスへの導線としてメディアを活用する手法です。

誘導したい製品やサービスのニーズに近いユーザーを集められるメディアを設計し、そこで読者を引きつけていく。このように、ある種「広告」としてメディアを運用することで、間接的に自社へ利益をもたらします。この手法はPVだけを追わなくてよくなるため、ユーザーのニーズに最大限寄り添ったコンテンツを制作できるのも魅力です。

とはいえ、自社サービスを最優先しなければならないのはデメリットにもなり、良くも悪くもメディアの生み出す成果は自社サービスの出来に左右されます。また、たとえ競合製品のほうが優れていてもそれを推しづらく、フラストレーションを抱えることになるかも。社内での連携がカギになるマネタイズ手法といえそうです。

導入例:オウンドメディアなど

8.自社のブランディング

最後に紹介するこの手法は、収益化を完全に放棄し、自社のブランディングを通じて知名度やイメージを向上させようというもの。短期的にみれば丸損ですが、長期的に考えれば獲得したイメージを通じて目的を達成することは可能です。

この手法のメリットは、なんといっても収益性を度外視できること。予算をぜいたくに使って優秀な編集者やライター、インタビュイーを集められるので、記事の質が上がりやすいです。また、内部の人間のモチベーションが高くなりやすく、ブランディングだけを目的にするなら最適な手法になるでしょう。

しかし、ほとんど収益が上がらないため、それでも運営を続けられる体力のある運営元以外はとても真似できません。また、組織内からも「金食い虫」と後ろ指を指される可能性は十分にあります。ブランディングを大切にする都合上、ブランドイメージに反するような記事が出せないのもデメリットでしょうか。

導入例:地方公共団体運営のメディアなど

まとめ:どう儲けているメディアかを知ると、執筆にも役立つ

フリーライターとして働くうえで、メディアがどうマネタイズしているかはあまり重要ではないと思われがちです。実際、そんなことを全く考えなくても高品質な記事は書けるでしょう。

しかし、自分の原稿料がどういうメカニズムで発生しているかを知ることで、記事を書く姿勢も変わってきます。ライターはクライアントの求めるコンテンツをつくる仕事。収益を生める記事は、そのままメディアの需要にあった記事であることも珍しくなく、(クライアントからみた)コンテンツの質を向上させられます。

また、自分の書きたい記事を書けるメディアを探すためにも、マネタイズ手法は知っておくべきです。メディアの特性は、ジャンルだけでなくマネタイズにも表れてくることを覚えておいてくださいね。

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ABOUT US
齊藤 颯人
『Red Pencil』編集長、FP事務所『トージンFP事務所』代表。1997年東京生まれ。上智大学文学部史学科卒業。大学在学中より学生ライターとして活動し、卒業後はそのまま新卒でフリーライターに。歴史やフリーランス、旅行記事などを中心に執筆し、フリーランスメディアで編集者としても活動している。